運命を拓く~天風瞑想録~・中村天風

毎朝、目が覚めると、「感謝」で涙が出てくる。

そんな風に、日々過ごしていますか?

今回は、『運命を拓く ~天風瞑想録~』(中村天風/著)をご紹介していきます。

「中村天風」は、波乱万丈の人生を送った人で

その過程で、独自の「瞑想法」や

今で言うところの「引き寄せの法則」にまとめ上げ

世間に広く普及をさせました。

「人生哲学」の、第一人者とも言われています。

この本は、いつ読み返しても

「生きる力」がみなぎってくる本です。

この本の中でも、「人は全てを創造する力を持つ」

これをメインに説明します。

 

この本で得られるものは3つあります。

・生きる力が湧いてくる

・感謝が溢れる

・世界の素晴らしさが分かる

この3つです。

 

今回は、4つのポイントで説明をします。

➀伝説の人「中村天風」

➁宇宙の法則

➂常に前向きになるには

➃完璧な調和の世界

 

 

 

目次

伝説の人「中村天風」

「中村天風」は、財界人やスポーツ選手など

多くの重要人物に影響を与えた“伝説の人”です。

経営の神様「松下幸之助」、京セラ創業者の「稲盛和夫」

また大谷翔平選手や、松岡修造さんも

中村天風さんの本を「座右の書」として挙げています。

 

天風は、日露戦争のため満州へ行き

スパイとして活躍するなど

数々の「死線」を超えてきた人物です。

しかしある時、肺結核を患います。

当時、結核は「不治の病」で、死を覚悟していました。

病を治すために世界中旅して、医学を学び

哲学や宗教にも救いを求めましたが

どのような学識も、病気を解き明かすことは出来ず

癒しをもたらしませんでした。

そんなわけで、諦めて日本に帰ろうとしていたその時

足を運んだエジプトの宿泊施設で、「ヨガ」の聖者と出会います。

その聖者に

「あなたには、まだやっていないことがある。ついて来なさい。」

と言われて、天風はヒマラヤ山脈の高地に向かい

その地で天風は、およそ2年半におよび

「瞑想」の修練を重ねたのです。

この「瞑想」の修練を達成し

天風は「悟り」の境地に達し

不治の病を治しました。

天風は、この経験から得た知見を

「宇宙の法則」として世に広めて

多くの人に、「生きる力」を与えてきた人物です。

 

「宇宙の法則」とは、簡単にいうと

「マインドの在り方によって、一生は全部決定される」

というものです。

全て決まるとは

「行動力も健康も幸福も、更には社会なども全て」

という意味です。

 

過去に天風は、労働闘争の騒動で解決を依頼され

炭鉱に交渉しに行ったことがあります。

炭鉱に立ち向かう天風に

勤労者は銃でどんどん銃撃してきます。

にも関わらず天風は

「“宇宙の法則”に従って、正しいことをしているんだから、銃弾が当たってたまるか」

という信条の元に突撃して

最後には見事に交渉をうまくまとめたんです。

実際は、着ている洋服には

弾丸が何発も命中していました。

そんな状況でも、天風は

「全ては上手くいく」と考えることが出来て

逃げ腰にはならなかったんです。

 

もしも弾丸の飛び交う状況下でも

「本当の悟り」の境地に達した人は

「一切の恐れ」も、「一切の不安」も無くなる

ということです。

 

今の話は、天風の信念の力を示すエピソードです。

自分は、「運命の流れ」に従って突き進んでいるので

どのように事が運んでも「成功するのは明白である」

という信条です。

この確固たる「信条」があるため

どんなに「困難な状況」に見えても

突き進むことが出来て

目標を達成することが出来るんです。

 

僕達も、鉄砲で撃たれているわけでもないのに

コロナ不況で不安になっている場合ではありません。

 

そうして、どのような「信条」が当人に生み出されるかは

普段の「思考の積み重ね」によります。

「積極的な考え方」をすると

1つ「積極的な信条」が生み出され

「消極的な考え方」をしたら

1つ「消極的な信条」が生み出されます。

 

だから天風は

「どんな状況でも、断じて消極的にならずに、

元気ハツラツで、明るく前向きな気持ちでいるべし!」

ということを、何度も繰り返し強調しています。

 

「何があっても、絶対に絶対にポジティブ!」

これが天風の教えです。

この24時間「ポジティブに生きる」というのが

「宇宙の法則に従って生きる」ということです。

天風は、「宇宙の法則」に従属して生活していたので

宇宙に守られ、神に守られていたんです。

「宇宙」は、絶対に誤りません。宇宙全体で見ると

全てが「完璧な調和」のもとに、進んでいるんです。

 

 

では、「宇宙の法則」とは

より具体的には、どのようなものか?

「ヒマラヤの山奥で、たった一人で、

この世の真理を探究しようと瞑想をしている。

そんなつもりで、この本を読んでください。」

と、天風さんは言います。

それでは、説明をしていきます。

 

宇宙の法則

まず、宇宙の根本を考えていきます。

「形のある宇宙」ができる前に

「形のない宇宙」があるはずです。

その「形のない宇宙」、それが一番「根本にあるもの」です。

そうして、その根底にある初めのエナジーを

もたらす源が宇宙を創ったんです。

この、“全ての根本にあるもの”を

天風哲学では「宇宙霊」と名付けられています。

「神」や「仏」と言い換えてもOKです。

とにかく、これが森羅万象を生み出したものです。

 

そして、この「宇宙霊」とか「神」と呼ばれる

“万物を創造するパワー”は、人間にも与えられているんです。

それが「意志の力」すなわち、「思考の力」です。

つまり人間は、全てを「創造する力」を与えられているんです。

 

ですので、「マインドの在り方」を改善したり

悪くしたりすることによって、人間の人生は

良くもなり悪くもなるんです。

人生の全ては、「心」が作っているんです。

日々の生活の、一瞬一瞬の考えた内容や

喋った内容が、人生を「創造」しているんです。

冗談を言ってみたり、ちょっと悪口を言ってみたりする

その全てです。

その、一瞬一瞬の「思考」で

人間は、宇宙を「創造する力」を使っています。

具体的に言うと、僕達の「身体の健康」も

「人生」も「世界の在り方」なども

全て「心の持ち方」次第によって

決定することができるということです。

これが、「中村天風」の辿り着いた「悟り」になります。

 

つまり、「ポジティブ」である事のみが

生きていく上で“唯一重要なこと”だということです。

この「悟り」を得たことで中村天風は

医者という医者が「治らない」と言った“不治の病”を

見事に「完治」させて

当時の平均寿命よりずっと長い

92歳まで生きました。

しかも、病と闘いつらい気持ちでの92年間とは違い

楽しくハッピーな毎日を過ごしながらの92年間になります。

 

こんなふうな身を持った経験からも

「人の考えは、人生の一切を創る」と

天風は確信をしたんです。

これが、この世に存在する

ありとあらゆるものに働く「宇宙の法則」です。

今風に言えば、「引き寄せの法則」のことです。

この法則を常に意識して

「前向きな心」で生活していれば

完璧な「調和」のもとに生きることができます。

それにより、生命の「無限の自由」

というものが得られます。

 

分かりやすく言うと

「全ての良い事を引き寄せる状況」

つまり「何でも出来るし、何にでもなれる」

という状態です。

 

ですので、どのような状況下でも「考え方」と

「宇宙の創出のパワー」が、別個なのではなく

“本質的には一つのものである”ということを

忘れてはなりません。

「思考」が持つ「全てを創造する力」は

一瞬も休むことなく働いているんです。

瞬間瞬間の「考え」が、「宇宙に働き掛ける」から

超責任重大です。

そして、この力は人間一人一人が必ず持っています。

この「宇宙の真実」に、ほとんどの人は

まだ気付いていません。

でも、多くの人が気付くのは

時間の問題です。

これは、目に見えないからという理由で

つい最近まで「電気」の存在を

誰も知らなかったのと同じ流れです。

 

健全であっても、宿命であっても

人生の「全て」は、人の「心」によって作られているんです。

科学では、まだこれを証明できていません。

でも、確かにあるんです。

 

よって、一番いけないのは

五感で感知できないものや

現代科学で証明できないものは「存在しない」

と考えてしまうことです。

電気だって、元々は誰も知らなかったし

証明もできなかったんです。

でも、現実に存在するのは

もう誰もが知っています。それと同じです。

 

宇宙を「創造」している“エネルギー法則”。

「それは確かに在る」んです。

では、こちらの「宇宙の法則」に従属してやって行く為に

“ポジティブなマインド”は

どんな方法でつくり出すのが適切なのでしょうか?

そこで、次のポイントです。

 

常に前向きになるには

人間として「正しい生き方」をするには

いかなる時でも、心を「ポジティブ」に

しなければなりません。

生きていく上での

僕達の「ねばならない」は、それだけです。

だから、超シンプルです。

ただし、シンプルなだけに

これだけはどんな状況でも

「完璧」に出来なければいけません。

「明るく前向きに生きる“覚悟”を決めてしまおうではないか」

これが、天風の教えです。

では、常に「ポジティブ」でいるためには

どうすればいいのか。

 

ほとんどの人は、「肉体」が

自分であると思い込んでいます。

しかし、人間というものの正体を突き詰めていくと

本当は「霊魂」という“気”であるのが分かります。

「意識体」と言ってもいいです。

 

「本当の自分」とは

「肉体」の方ではなく「霊魂」の方です。

その「霊魂」が、この世界で活動を表現する道具として

「肉体」と「心」を使っているんです。

回転する「扇風機」に、それを回す力があるのではなく

「電気」がこれを回しているのと同じ理屈です。

簡単に言うと、人の身体は

「全身かぶりもの」の様な物で

動かしているのは、本当は「霊魂」による力なんです。

これを、はっきりと自覚することが

本当の「悟り」です。

しかし、これを本当に理解している人は

ほぼいません。

 

だから、ちょっとでも肉体が不健康な状態になると

すぐ心配になります。

「霊魂」や「意識」である自分自身は

何も変わらず“存在”しているにもかかわらず

「身体」の側を自分自身だと見なすため

そのように弱気になってしまうんです。

本当は、宇宙全体と常に繋がっている「意識」のほうが

「本当の自分」なのに、それを忘れてしまいます。

 

無意識に、宇宙の全てと自己とが

“切り離された存在”だと考えてしまうんです。

本当は、「意識」は

絶えず「宇宙」とリンクしているため

「思考」の力さえ用いれば

健康も幸福も安心も平和も、全て手に入るんです。

 

現代は、物質的には、非常に恵まれている時代です。

衣食住には困らないのに

それでも病人が一向に減らないのは

「心の置き所」が間違っているからです。

ほとんどの人は、「思考」が己の「肉体」を作り

「人生」を創っていることを、自覚していません。

「風邪をひかない人」や「運がいい人」というのは

常に「前向きな考え方」を行っているから、そうなるんです。

「宇宙の法則」を知ってか知らずか

とにかく「いい気分」でいるから

「いいこと」を引き寄せているんです。

 

この大元の「思考の力」

つまり「宇宙のエネルギー」は

目に見えない力のうちの一つです。

 

これは、他の「目に見えないエナジー」の

“エレキテル・磁力・スチーム”などに先立つ

宇宙の根源にあるものです。

この根源的な力は、アラーと言ったり

仏と言ったり、如来と言ったりと

世界中で様々な名前で呼ばれてきました。

このことから、宇宙の原点的なパワーの

「創生のパワー」と、人の「考えのパワー」が

何があっても個々の事柄じゃなく

本質的には、一つのものであることが分かってくるんです。

 

つまり、「神の創造の力」が

「思考」にもある

ということが分かってくるんです。

この真実を理解すると

最大限の「自己肯定」が出来るようになります。

自分自身を最高に引き上げた考え方を

心に保てるようになるんです。

今までとは全然違った

“自分に対する新しい「見方」”が出来上がります。

この、新しい自分の「見方」とは

ざっくり言うと、「私=神」「私=創造するもの」

という見方です。

 

そして、この「思考の力」を使えるのは

万物の霊長である人間だけです。

だから、「思考の力」を使える

「人間に生まれてきたことの本当の有り難さ」を

正しく理解しなければなりません。

「有難い思い」と「尊敬の思い」を

自分の「思考の力」に持たなければならないんです。

また、一瞬でもネガティブな事を考えたり

喋ったりして、そのような世界を「創造」していないか

注意をしなければなりません。

それが、創造主に課せられた使命です。

「思考」という「創造の力」を

“悪用”してはならないんです。

これを守らないと、「宇宙に迷惑」をかけることになります。

「ネガティブ」になることは

「周りの人に差し障り」を与えるだけではなく

「宇宙に迷惑」をかけているんです。

それが偉大なる「思考の力」です。

 

「考えのパワー」の凄さをインプットしていると

どんなに苦しい時でも、自分は「力の結晶」であり

いつも「宇宙のパワーと一緒である」

との正しい理解で生きていくことができます。

この境地に達すると、特別にスペシャルな事を行わなくても

常にエネルギッシュな「超前向き」な常態で

人生を送ることができます。

これが、常に「前向きな心」でいられるコツです。

とにかく、“どんな時でも、元気ハツラツな状態”で

生きることが、人生で最も大切なことです。

 

そのためには、自分は「宇宙の力」に

アクセスをしており

「創造の力」を宿していることを

常に意識していなければなりません。

そして、このような「宇宙のパワーと一緒に在る」

という思考から、「悟り」の境地である

「ワンネス」の意識が芽生えてくるんです。

そこで、次のポイントです。

 

完璧な調和の世界

広い海や、上空に存在するお日様

毎秒吸い入れるエアーなど

目の前にある大自然に、どれ一つとして

人間の力で作られたものはありません。

太陽は、東から昇り西に沈みます。

春夏秋冬だってあります。

地球は太陽の周りを回り

太陽系には地球以外にも星があります。

更に、太陽系以外の銀河系だってあります。

全て、何らかのエネルギーによって創られたものです。

一つだけはっきりしているのは

サイエンスを深く信じる人が

「サイエンスの技術で作り出したのとは違う」ことです。

 

これらの大自然は、「完璧な調和」の元に動いています。

全ては「完璧」なんです。

これをもたらしている「宇宙の法則」を考えた時に

「全知全能」の力を感じます。

これらの「宇宙の力強い動きを引き起こしているパワー」は

人間の言葉や知識などでは

到底言い表すことができない、深遠なものです。

 

マクロな宇宙の物事から、ミクロである一つ一つの生体に

視点を移しても同じです。

植物や虫から四つ足の生物まで

ありとあらゆる物は、完璧な「細胞組織の調和」のもとで

存在をしています。

人間の細胞だって同じです。

肺や胃など、全部の臓器が「無自覚」の内に

完璧な「調和」のもとに動いているんです。

 

ここに来て人は、ある考えを持ちます。

なんて有難いことだ。

今この瞬間の自分は、全てを知りどんなことも

行える能力がある “宇宙のパワー”と一緒に在るじゃないか。

完全なるバランスを元に取り入れられている。

だから、今こうして自分は生きているんだ。

このような「気付き」が

「深い感謝」と共に、生まれてきます。

どういうわけか、宇宙の「完全なるバランス」の中で

意識体として「存在を認められている」んです。

僕達が、ただ「何となく生きている」毎日は

本当はそういうことなんです。

この、「生きていることの奇跡」を悟ると

「感謝」せずにはいられなくなります。

 

この、“「完全な調和」のもとに

自分も組み込まれている感覚”

これが「ワンネス」になります。

私は完璧で、あなたも完璧

物事も全てが完璧なタイミングで起こっている。

「全ては一体で、全ては一つなんだなぁ」

というのが、頭ではなく感覚で分かります。

無人のヒマラヤの人里離れた土地に

たった一人で座っていても

もはや何の「寂しさ」も感じません。

家で一人で引きこもっていても

全てと繋がっている感覚があるので

物足りなさも感じなくなります。

言葉では言い表せない「心強さ」を

常に感じることができるんです。

 

また、この「完全な和合を生み出す力」は

マインドが「前向き」になればなる程、強くなります。

宇宙規模でも、これは当てはまりますが

個人の肉体レベルで話した方が、分かりやすいです。

 

「ポジティブ思考」が肉体にもたらす“調和”は

物理レベルでハッキリと現れます。

つまり、「神経系統」の変化です。

目で見る事の出来ない「宇宙のエナジー」を

人間の生命に取り入れるのも

また、そのエナジーを全身に分配するのも

「神経」が行っています。

そして、その「神経」の働きは

「心の状態」によって左右されます。

簡単に言うと、心が「プラス思考」か

「マイナス思考」かで

細胞レベルでの身体の活動が

活発になったり弱まったりするんです。

だから、「いつもプラス思考な人」は

なかなか病気になりません。

 

「考え方」次第で、「全身の調和」が取れるなら

当然そこから得られるメリットは

「病気が治る」だけではありません。

「ポジティブ思考」で、全身がより「調和」するようになると

「集中力・忍耐力・行動力・頭の回転」など

全ての能力がアップします。

そして、私たちの肉体の内側で起こる話は

“地球規模”や“宇宙規模”でも起こります。

自分が「積極的プラス思考」でいることは

調和のとれた、素敵な「世界を創る」ことになるんです。

なぜなら、人間の「思考」は

「宇宙全体といつも繋がっている」からです。

 

最後に

 

「中村天風」さんの、素敵な言葉をそのまま引用をします。

 

『人の生命は、常に見えざる「宇宙の力」に包まれている。

したがって、宇宙の持つ「万能の力」もまた、我が生命の中に当然存在しているのである。故に、いかなる場合にも、またいかなることにも、恐れることなく、また失望する必要はない。

今ここに、この真理を自覚した私は、何という「恵まれた」人間であろう。

否、真実、「至高至福」と言うべきである。

したがって、ただこの上は「無限の感謝」を持って、この真理の中に安住するのみである。』

 

『運命を拓く』(中村天風/著)を読んで学んだことをご紹介しました。

とても面白い本なので、ぜひ読んでみてください。